片手はふさがっている。もう片方の手もふさがっている。でも、耳は空いているし、声も出せる。だったら、その時間はもっと有効に使えるかもしれません。
前回の記事では「ながら×おまかせ」というAIネイティブ生活術の全体像を紹介しました。今回はその前半部分、人間が身体をフル活用してできる「ながら作業(Human-Parallel)」にフォーカスします。

日常生活のなかには、意外と多くのスキマ時間があります。特に両手がふさがっているときには、普段よりも耳や口をさらに有効活用することで、情報を効率よくインプットしたり、アウトプットを生み出したりできます。
具体的には「音声入力で記録を残す」「動画を撮影して自動的にマニュアル化する」「耳で情報収集する」「歩きながら口述で作業を進める」などがあります。
今回は、そうしたAIネイティブ「ながら」作業術を具体的に紹介します。日々忙しいあなたにこそ試してほしい内容ばかりです。
1.「声だけ」で育児記録を残す
第1回の記事で双子育児をしているとお伝えしましたが、実際の育児の現場では両手が塞がっている状況が頻繁にあります。そうしたなかで私がとても助かっているのが、声だけで確実に育児記録を残す方法です。
例えば、育児記録アプリ「ぴよログ」は、Siriのショートカット対応。授乳・ミルク・おむつなどの記録を、設定した音声フレーズで簡単に追加可能です。Apple Watchやスマートスピーカーとの連携も可能で、「Hey,Siri、〇〇が150mlミルクを飲んだよ」といった使い方ができます。

授乳や寝かしつけ中も目線を落とさず、手も使わずに記録が可能。これにより記録漏れが減り、子どもの生活リズムを把握しやすくなります。我が家では育児データをAIに読み込ませて、発育やちょっとした疑問を質問することも多いです。
今回紹介した音声入力はAIをつかった機能ではありませんが、まさに「ショートカットを制する者は時間を制する」といったように、日常の効率化のキーになります。他にも、ちょっとしたことをChatGPTに質問する際にも、Siriで直接Voice Modeを起動し、即座に話し始めることができます。

2.動画を撮って画像入りマニュアルを自動作成
動画から簡単に画像つき手順書を作成できる方法です。
スマホで撮影した動画をGeminiが文章化し、章立て・要点・スクショ候補を抽出。さらに、中国のスタートアップ企業により開発されたAIエージェント「Manus」でスクショを取り込み、画像入りの手順書を自動生成します。
これにより、例えば育児シーンでは、ベビーシッターさんへの説明を毎回ゼロからする必要がなくなります。業務ではPCの操作画面を録画保存し、それを業務マニュアルとして使うことも可能です。
ポイントは動画をスマホ撮影しながら、Vlogや実況中継のように具体的な操作や手順を声に出して説明することです。AIは映像だけでなく、話している内容も理解して反映してくれます。
具体的な手順(例:ChatGPT操作方法):
- 動画撮影: 操作や説明を声つきで録画。
- Gemini分析: Gemini / Google AI Studioに動画をアップし、章立て・要点をテキスト化。
プロンプト例:「この動画から操作マニュアルを作成。ステップごとに説明をまとめて。」 - スクリーンショット指定: Gemini / Google AI Studioにスクショのタイムスタンプ指定を依頼。
- ManusでPDF化: 指定されたスクショを抽出してPDFマニュアルを作成。
3.「耳で摂る」自動ニュース
情報収集から音声化まで、AIが完全自動で行います。
興味のあるテーマを設定すると、AIが情報収集→要約→原稿生成。完成した原稿は音声合成で聞けるようになります。
家事、運転、休憩中など「ながら聴取」が可能で、効率的に情報をキャッチアップできます。自分が好きな趣味や推し活の情報収集にもおすすめです。
私自身は前述の「Manus」を使い、自然言語で設定したタスクスケジュールに基づいて毎朝AI関連の最新ニュースを10〜20分かけて耳で摂取しています。大量の情報ソースからの厳選・ファクトチェックも自動で完了します。


4. 歩きながらの音声入力ワーク
移動中にアイデアや原稿草案を手軽に作成できます。
移動中に音声で指示を出しリサーチや下書きを行い、対話形式で構成をブラッシュアップできます。
人間は話す方がタイピングよりも3〜4倍速く、「発話で吐き出して後で整理」するスタイルが効率的です。
近場への買い物や移動中に、ChatGPTに話しかけてアイデア整理を行っています。ChatGPTの音声認識精度は非常に高く、外出先でもストレスなく利用できます。読み上げてくれるので、ながら作業にもってこいです。

ちなみに、PCでの作業時はAI音声入力アプリの「Aqua Voice」を使い、ChatGPTに閉じずあらゆるアプリで低遅延かつ高精度の音声入力を行っています。

毎月のサブスクリプション購入が気になる方は、少しスピードや精度は劣りますが、買い切りのAI音声入力アプリ「VoiceInk」を検討してもいいかもしれません。

Aqua Voice – リファラルリンク(有料プランが1ヶ月無料)
まとめ
AIネイティブな「ながら作業術」を取り入れることで、忙しい毎日の時間効率が飛躍的にアップします。まずはひとつでも試してみてください。
また、AIネイティブな仕事のやり方や生き方についてもっと気になる方は、ぜひ私のSNSも覗いてみてください。
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次回は『AIに24時間お任せする自動作業術』を詳しく紹介します。お楽しみに!

川村将太(“しょーてぃー”)
経済学部を卒業後、新卒で事業会社に入社。UXデザイナーとして、戦略やマーケティングに重点を置いた体験設計を担当。現在は、大手自動車IT関連会社の全社AI戦略の策定と推進を手掛ける。並行して、フリーランスのExperience Designerとして、AI関連の講演、新規事業のアドバイザリー業務、研修も行い、その知見を広く共有。企画・デザインプロセスにおける生成AIの活用や、AIと人とのこれからの新しい体験設計にも取り組んでいる。その他にも500名以上の子どもに生成AIワークショップを開催。
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