朝の5時、子どもの授乳を終えてスマホを開くと、AIがまとめた朝のニュース音声が完成していました。
保育園探しのためのリストもExcelで整理され、自宅からの距離順に並んでいる。私が寝ている間、仕事をしている間に、AIが黙々と働き続けてくれている……。
前回までの記事で「ながら作業」を紹介しましたが、今回はもう一つの柱である「おまかせ作業(AI-Parallel)」について詳しくお伝えします。
重要なのは、「あなたが他のことをしている間に、AIが別の作業を進めてくれる」という並行性です。
- あなたが寝てる間に、AIは情報収集と分析
- あなたが子どもと遊んでいる間に、AIは資料作成
- あなたが仕事をしている間に、AIは便利アプリ作成
この「完全並行作業」によって、1日24時間を大きく拡張できるのです。
1.睡眠中もAIが休まず働く!朝のニュースを自動で耳に届ける
毎朝5時、ミルクを作りながらイヤホンで聞くのは「AIが作った自分専用の音声回答」です。
私は仕事やプライベート問わず多くのことを調査するのですが、双子育児が始まり、そんな時間はどんどん取れなくなりました。
そこでAIエージェント「Manus(※1)」に調べたいことを任せたり、興味領域を教え、毎晩自動で複数記事をピックアップし、ファクトチェックをしてニュース原稿化、そして回答を音声化してもらっています。
そして、自分のカレンダーに追加しておいてもらうこともできます。

私が3〜4時間寝ている間にAIは何十ものサイトを巡回し、時には私の40〜50本の記事を精査して10〜20分の音声コンテンツに仕上げてくれます。
そして運転中、調乳中や家事をしているときに、耳で効率よく情報をキャッチアップできるのです。
他にも、Manusは様々なサービスとかんたんに連携することができ、Notionにニュース内容を保存するほか、毎日LINEにニュースを通知することも可能です。

※1 Manus:自然言語でタスクを指示すると、自動で情報収集や分析を行ってくれるAIエージェントツール
2.育児中でも投資に強くなる!AIが届ける市場レポート
育児に向き合うため、今は意図的に仕事量を減らしています。
その分、お金にも働いてもらう必要性を感じました。
子どもの将来用に積み立て投資を。そして、自己資金のために個別株の投資も少し増やしました。
金融に疎い私にとっては、特に個別株は「なぜ上がったのか/下がったのか」を追うのは大変。
そこで毎朝、保有銘柄の上がり下がりと、その動きの要因となった関連情報を収集し、ダイジェストとして受け取るよう設定しました。
AI関連企業の個別株を複数購入しており、かつ場合によってはX(旧Twitter)で多くの最新ニュースが公開されることもあるため、X上の情報も合わせて取得できるGrokを活用しています。
私が朝子供の着替えや保湿をしているときに、「昨日の○○株が3%上昇。△△のニュースが要因」といったレポートが届いています。

これは投資タイミングを見計らうというより、経済に対する好奇心を持ち続けるために行っています。
3.保育園リサーチを自動化
来年から双子を預ける保育園を探し始めました。
「保育園に入れなかった」は避けたい。でも、2人を連れて通える距離には制約があります。
自宅周辺にいくつか候補がありそうですが、それぞれの特徴、ネットでの評判、去年の倍率などを下調べするのは膨大な作業です。
朝、仕事を始める前にAIエージェント「Manus」に
「○○区内の認可保育園をリストアップして、自宅からの距離・定員・特徴・口コミ・昨年倍率をExcelにまとめて。距離順に並べて」
と自然言語で要件を伝えて依頼。
休憩時間にスマホで進捗を確認し、
「0歳児枠が空きやすい園を強調して」
「兄弟同時入園の実績も追加して」
と修正依頼。


仕事が終わる頃には、50園以上を調査した比較表が完成していました。
人力なら半日かかる作業です。ここから実際に電話やウェブで予約して見学へ行きました。
4.スキマ時間で便利アプリをDIY
ちょっとした業務の自動化や便利ツールが欲しいとき。これまでは既存サービスを探すか、諦めるかでした。 でも、今は「Cursor(※2)」や、「Claude Code(※3)」「Codex(※3)」といったツールで、自分のために欲しいものを自分で作れる時代。
要件をAIと対話しながらかためて自然言語によって作り上げていきます。
※2 Cursor:AI搭載のコードエディタ。自然言語でコード編集が可能
※3 Claude Code、Codex:ターミナルから自然言語で指示を出し、コード生成や実行を行うCLIツール
寝る前にベッドでスマホから
「GmailにくるSaaSからの請求書PDFを、月初にGoogle Drive内に該当の月のフォルダを作成してアップロードして自動保存できるようにして、完了したらメールにて通知」
と指示し、そこから対話で詳細要件を詰めていきます。
そして、時間つくってサービス連携の詳細設定をPCで実行。
子どもが抱っこ紐で寝てくれてスマホが触れるとき、トイレに入ったとき、ふとしたスキマ時間に
「〇〇のサービスは除外」「迷うメールがあればSlackに通知」
と修正依頼を追加。

テスト運用すると、このアプリから最初の通知が届きました。
私はスキマ時間に指示を出していただけ。
その間もAIは黙々と開発を進めてくれます。
その他、作った便利アプリの例抜粋:
- 育児データの自動集計&分析レポート送信
- Gmailの自動下書き・ラベル付け
- バイタルデータを約30分ごとに記録し、動くビジュアルアートに
「やりたいこと」を言葉にできればちょっとしたことは形になる。
これが「Vibe Coding(※4)」によるDIYの力です。
※4 Vibe Coding:従来のプログラミングと異なり、人間が自然言語や音声でAIに指示を出し、AIがその意図を解釈してコードを生成するスタイル。直感的で創造的なアプローチ。
まとめ:1日24時間を何倍にも拡張する生き方
今回紹介した「おまかせ作業」の核心は、
「自分が他のことをしている間も、AIは休まず働き続ける」
という時間の二重化です。
これまでの「効率化」は、「作業をより速く行うこと」に留まっていました。
しかし、AIネイティブな生き方は、人が休息や趣味を楽しんでいる間すらもAIが着実に成果を出すこと、そしてそれによって余白を生み、好奇心を持ち続けることを目指しています。 第2回で紹介した「ながら作業(Human-Parallel)」と合わせれば、1日24時間を擬似的に拡張できます。

双子育児という極限状況から見えてきたこの可能性。
忙しいビジネスパーソン、学生、すべての人に応用できるはずです。
あなたも今日からAIに何かひとつ、「おまかせ」してみてはいかがでしょうか。
AIネイティブな仕事のやり方や生き方についてもっと知りたい方は、ぜひ私のSNSも覗いてみてください。
日々の実践や最新の取り組みを発信しています。
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これからも、AIと共に成長し続ける毎日を楽しんでいきます。
川村将太(“しょーてぃー”)
経済学部を卒業後、新卒で事業会社に入社。UXデザイナーとして、戦略やマーケティングに重点を置いた体験設計を担当。現在は、大手自動車IT関連会社の全社AI戦略の策定と推進を手掛ける。並行して、フリーランスのExperience Designerとして、AI関連の講演、新規事業のアドバイザリー業務、研修も行い、その知見を広く共有。企画・デザインプロセスにおける生成AIの活用や、AIと人とのこれからの新しい体験設計にも取り組んでいる。その他にも500名以上の子どもに生成AIワークショップを開催。
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